延べ床面積 | 110m2 |
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計画策定費 | 40万円 |
耐震工事費 | 210万円 |
合計費用 | 250万円 |
補助金 | 137万円 |
実質負担額 | 113万円 |
耐震診断と構造補強 耐震工事(診断と補強計画と工事状況) 神戸市西区
神戸市にて、木造住宅の無料耐震診断と構造補強計画をおこなった。
■費用概要
耐震工事の費用は 210万円 ですので、ご負担金が100万円 補助金が110万円 それに計画策定費用 35万円 補助金 27万円 ご負担金 13万円 ご負担金は110万円ほどで耐震工事をおこなうことができます。
■調査耐震診断
昭和52年に建築した建物であるため、築42年ほどの建物である。建設当初の申請図面は存在していないため、図面の実測を行う。
木造二階建 延床100m2ほどの立派な木造住宅である。浴室の床タイルが割れて、水が床下に漏れる現象がおきていた。劣化対策として至急補修すべき事項である。
耐震診断をおこなった。
今回耐震診断を行った結果 倒壊する可能性が高いと判断されました。
1階東西方向 0.31 南北方向 0.22
2階東西方向 0.49 南北方向 0.40
東側から見た倒壊する様子
西側からみた倒壊する様子
北側から見た倒壊する様子
・上部構造(建物)の総合評点としては「倒壊する可能性が高い」との結果になっており、1階の東西南北方向、2階東西南北方向で評点が非常に低いことが挙げられます。地震に耐える壁の耐力が不足しています、又、壁の配置バランスも悪いです。
■構造補強計画
地震に強い建物にするための補強方法としては、現在ある壁を中心にバランス良く壁の耐力を高め、特にバランスの悪い部分については開口部や押入の一部に耐力壁を追加する事が重要です。
補強計画としては、一階台所食堂居間の壁を全体的にやり替え、浴室も壁をやりかえることで、評点1.0以上となる。二階は、バランスよく四隅の壁を補強します。
東側から見た補強の様子
西側からみた補強の様子
北側から見た補強の様子
1階東西方向 0.31 南北方向 0.22→ すべて、評点が1.1以上となる計画にしました。
1階の居間、食堂部分の耐力壁を、外部から耐震補強することで耐力が大幅に改善され、安全な住まいに近づきます。
実際に工事をおこないました。
■耐震工事
①2階部分の壁の補強
二階部分です。二階部分も耐力がたりなかったため、3カ所壁の補強をしています。
まずは、既存のPBを撤去し、柱と梁の四隅に金物をいれて補強します。
柱頭と柱脚に金物で補強しています。
上から構造用合板をN50釘で 打ち付けていきます。クロスを張り替えて 仕上がりです。
②1階の外部からの改修
住みながらの 工事となるため 一階の壁は 外側から補強することにしました。
外壁にはサイディングが存在しているため、一部切り取り、壁の補強後に、再度サイディングを貼ります。建具の戸袋も存在している箇所があったため、一度外して、補強後に再度取り付けを行います。
はがしてみると 既存の 壁に対して 筋交いは 一部存在していましたが、柱、梁と結節されていないために(赤四角部分です。筋交いが土台と結節されていますが、柱には緊結されていないために筋交いの効果があまりでません。このような施工の筋交いがよくあります。)筋交いも 新設し、金物で 梁と柱を結節する工事を行っています。
筋交いを柱と土台、柱と梁にしっかりと結節するため、筋交いプレート金物というものを用い、N50の釘で結節します。
他の壁も柱脚と柱頭を金物で結節します。上から構造用合板をはり、その上に外壁サイディングを復旧して工事が終わります。
サイディングを切り取る作業です。撤去すると筋交いと断熱材が見えます。
金物を柱脚と柱頭に設置します。
構造用合板を貼り、N50の釘を150間隔でいれます。
N50の釘も 間隔が100mmと 150mmで 存在しており、壁を強固なものとしています。
この釘の引き抜き力が 地震時に 大きな役割を果たし、地震力に対して抵抗します。
■調査における留意点
①小屋裏
小屋組みは、通常の和小屋であるが、羽子板ボルトがだいぶさびていて効きにくくなっていること、小屋裏通気口がないこと、小屋裏に断熱材がないことが気になった。おそらく夏は二階が相当暑いだろうと思われる。
②基礎のクラック
基礎部分にクラックがいくつか存在しており、至急補修すること。
床下は通気状態が良く問題ないが、断熱材がないので冬寒いことが予想される。
・地盤・地形:敷地の周辺状況で特に問題点が無いため「普通地盤」と判断しました。
・基礎:現地調査により基礎は「無筋コンクリート造」と判断しました。
・軸組:筋違は確認できないため、無しと判断しました。
・壁の配置・耐力:配置に関しては、1階東西南北方向に耐力的に有効な壁が少なく大きく評点を下げ、2階東西南北方向も耐力的に有効な壁が少なく大きく評点を下げています。
・劣化度:築後42年になり下記の点を考慮し劣化による低減をしています。・基礎部分に部分に0.3mm以上の亀裂が複数カ所存在しています。
・小屋裏は天井点検口から状況を確認しました。特に目立った損傷部分はありませんが、金物に錆が見られました。
以上 外部から耐震補強を行うと、1階の台所と食堂居間に居ながらの 補強改修工事を行うことができ、施主には 工事中の負担は存在しませんが、雨がかりを考えると外部からの工事には、注意を要します。 条件を検討しながら、補強計画をたて、改修工事を行うことが肝要といえます。